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プリンス×プリンセス

第78章 柔らかな温もり

少しだけ棒読みのように抑揚のない口調で、ジュークから1年前の出来事が語られる。

前だったら、ジュークの声を聞くと安心できた。

でも…今は……

「そしてあの子を連れて城を出て…キサンタンガムの者に会いました」

「どうしてルーミーを…」

ジュークの本意を知りたくて質問する。

その声がどうしても責めているようになってしまう。

守るって約束したのに。

あの子を危険な目に逢わせるような真似をどうしてとったの?

涙で潤む目に力を込めてジュークを見る。

泣かない!

納得が出来るまで、泣いている時間はないのよ!

ジュークは私をちらりと見て…

目線をそらしながら、ふうっとため息をついた。

どういう意味…?

「それは全くの計算ミスだったんですよ」

背後からの声に、驚いて振り向く。

「ルークス!?」

今まで無関係とばかりに椅子に座っていたルークスが、腕を組んで私達に告げる。

「本当なら、逃亡用の車に姫様を乗せておく手はずでした」

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