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プリンス×プリンセス

第78章 柔らかな温もり

ほんのわずかな期待を込めて。

さっきのものと比べれば、1割にも満たないほどの、ささやかな…希望。

けれどそれも、ジュークには届かない。

「はい」

きっぱりと簡潔に拒絶された。

「……そう、ですか」

諦めたくない。

諦められない。

自分のエゴが頭の中で騒ぐ。

けれどジュークに…ではなく、私自身に言い聞かせるために返事をした。

「分かりました」

1年前のあの日。

目が覚めて、世界が変わってしまったかのような衝撃と空虚感に襲われた。

あれから何度も思った。

生きていたら…

生きていて欲しかった…って…!

だから…

「夜遅くに押し掛けて申し訳ありませんでした」

椅子から立ち上がると、ジュークが息を飲んで腕組みを解いた。

あなたを恨もうと思った。

許さないと…思おうとした。

でも、出来なかった……。

それが私の罪なのだと悔いていたけれど。

ルーミーが生きている。

それだけで…救われた気がした。

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