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プリンス×プリンセス

第78章 柔らかな温もり

「…どうぞ、こちらへ」

え…?

言われた意味が掴めない。

ぽかんと見返すだけの私へ、ジュークが奥を指し示した。

それは、さっきルーミーが現れた引き戸。

「…いいの…?」

「はい」

そう答えてから、ジュークはルークスに視線を投げる。

「お前は?」

「いえ。私はここで」

ルークスは肩をすくめてみせた。

あ…。

帰ると言ったのに、結局居座ってしまう。

ルークスを惑わせて、迷惑を掛けてしまっているわ。

「ごめんなさいね」

申し訳なくて謝罪すると、ルークスが慌てて手を横に振って

「とんでもない!どうぞお気になさらず!」

その態度に、ジュークがため息をつく。

「そこで待っていろ」

ルークスへ冷たい視線を投げた後、ジュークは引き戸を開けて中に入っていった。

私もその後を追う。

引き戸の先は白色の壁紙に、オークル系の天井と床材で、とても簡素な印象を受ける。

奥に続く板張りの廊下を歩くと、すぐに寝室に着いてしまった。

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