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プリンス×プリンセス

第79章 写真と涙

隙のないその姿は、写真を見たせいか、フェールロコノでの執事姿を思い起こされる。

でもルーミーの頬をそっと撫でる顔は、仕事をしているものと違って、とても柔らかなものだった。

「1度だけ、この子がグレイス嬢にママと呼び掛けた事がありまして」

え?

グレイス…王女に?

意外すぎる出来事に目を丸くした。

どうして?

あ…でも、待って。

ジュークがここに移り住んだのは、ディオの言葉があったから。

ディオがグレイス王女にどんな依頼をしたのかは知らない。

でも、移り住んだ時から交流はあったのでしょう。

それならば、ルーミーがグレイス王女に懐くのも、母親の影を探すのも仕方がない…。

頭では理解できるのに。

ルーミーが他の人を『ママ』と認識しているのが…考えただけで、胸が痛い。

よほど表情に出ていたのかしら?

私を見たジュークが、一瞬驚いたように目を見開き…すぐに笑みを浮かべた。

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