無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「その次の日に、グレイス嬢が謝肉祭の記事が載った雑誌を持って来られました」

「…雑誌…」

言われて思い出した。

確か、視察から戻ってから、シルフィと一緒にその記事を読んだわ。

あの時はディオとテリオスの姿しか見ていなかったけど…

写真立てを改めて見る。

この時、私は何の役にも立てなかった。

体調を崩し、まともに公務に参加できなかった。

お土産も皆は私の発案だと感謝してくれたけど、きっかけはテリオスだ。

私はいなくても良かったのでは？

そんな思いを抱えたけれど…

私も写っていたのね…

嬉しいのに、悲しい。

目頭が熱くなって…ぐっと堪える。

写真立てに固定された視界に、ジュークの指先が入ってきた。

どくん、と胸が震える。

「そしてこの写真を指差し、ママはこの人だ、と」

指差した手が写真立てを持ち…そのままジュークへ手渡した。

ジュークは元々あった場所にそれを戻すと