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プリンス×プリンセス

第79章 写真と涙

「その場で写真を切り抜き、写真立てに納めて渡されて…この子の大切な品です」

そんな事を言われて、ますますどんな顔をしたらいいの?

嬉しくて頬を緩ませれば…

「そのせいで…この子はあなたを母親だと認識してしまった」

ジュークの声は冷たかった。

「写真だけならまだいい」

冷たいと言うか…その裏に怒気が隠れているような感じがする。

「例えばメディアであなたを見ても、他人の空似だと言い含める事も出来る」

他人の空似…

そうね。

メディアで扱われる私は、フェールロコノの皇太子妃だから。

母親であるはずなど…ない。

ジュークがずっと険しい顔をしていたのも。

ルーミーに頑なに会わせようとしなかったのも。

だから…だったの…?

「でも会ってしまえば…」

ジュークはおもむろに振り向くと、やっと私を真正面から見てくれた。

……けれど

「他人のふりなど、出来なかったでしょう?」

ジュークがにたりと笑う。

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