蒼い月の下で
第1章 蒼の旋律
エテルネルを失い、死んだ都市。
この世界には二つの都市と、種族しか存在してないと云う。ーー果たして真実(ほんとう)だろうか?
100年も生きてきて、只の一度もここから出たことがないレインにとっては、ここがすべてだった。
「……永遠に興味はないが、もし手に入れたら――」
エテルネルを、生き返らせられるかもしれない。
「……オレには何も導けない。お前じゃないんだ」
レインは綺麗な顔を歪め、前髪をくしゃりと掴む。
“エテルネル様以外の王を決して認めない、我が一族は”
“魔力も知識も到底及ばぬお前に、王の資格はない”
敵意しかない言葉を吐かれているのを、エテルネルは知っていたはずなのに。