アイツまで徒歩5分
第2章 勘違いは後々響く
しかし、上手くいってよかった…
「あの…陣ヶ岡さん…
すみませんでした……」
俺は、陣ヶ岡さんに深々と頭を下げた――――…
時間に間に合ったとはいえ…
気持ちに余裕がない…打ち合わせだったに違いない…
沢山走らせたし…
「最知…、俺も悪かった…
お前と同じで、時間を忘れて話し込んじまってたし…
俺も、うっかりしてたんだ…最知だけのせいじゃない」
陣ヶ岡さんは…俺の頭をポンポンと軽く叩くと…クシャッっと髪を乱す…
「――――…でも、スケジュールを管理してたのは俺ですし……」
「なら、酒でもおごってくれ!
このまま、帰ってもいい時間帯だしな!
綾瀬チーフには、おれから直帰の連絡しとくから!」
時計を見ると…ちょうど退社時間になっていた…
「はい!解りました」
何らかの罪滅ぼしはしたかったから、おごるぐらいいいか!!
俺は、テーブルの資料を集める…
その中の一枚…
陣ヶ岡さんのメモが手元で止まる――――…
「…字…綺麗だな…」
…その資料は、丁寧に鞄に戻した――――…
何となく…そうしたくなった…