アイツまで徒歩5分
第14章 【最終章】思いでは美化され腐りきる
「――――…だな…アイツはノーマルだ…
いつか…女が最知をかっ拐いにくるかもな―――…
」
ふと―――――…
先輩の顔がチラつくが…
不思議な事に―――…
先輩の顔が消えかけていて…
昔みたいに…締め付ける胸の痛みはなくなっていた…
「――――…そんな日が来たら…あんた…ど〜すんだよ」
「最知が―――――…女と…
そうだな……手を離すかな…
最知が…望むなら―――…
最知が…幸せになるなら…
会社の同僚に戻る覚悟はしてる――――…
鍵も……こんな風に受け取らない…
徒歩5分の――――…隣人になって…
一番近くで―――――…アイツの幸せを…祈る―――…かな…」
俺は、渡された鍵をそっと撫でて――――…
笑っていた――――…
「――――…愛してるって…
言ってないのに…
叫んでるみたいに聞こえた…」
ガキは、静かに……
座り直した――――…