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カクテルパーティー

第5章 言葉はもつれ始めて

三矢さんは石段を何段か上ると急に振り返った


「良かったー!
振り返ったらさ、橘くんいなかったらどうしようかと思っちゃった!
なんか言ってよ!
あはははは」



「ごめん
なんて言ったらわかんないけど、その…納得はしているの?」




「あのさ…
もし私が橘くんのこと好きだって言ったらどうする?」




「え?」

今、なんて?




「はいジョーダン!
わりーわりー」



三矢さんは更に石段を何段か上ってつぶやいた


「もっと早くに出会ってたら良かったのかな…」



石段を上りきる手前で再び立ち止まって、振り返った三矢さんの顔は

暗くてよく見えなかったけど

その声はか細くなっていた


「もう一度聞くよ?
私が…」



「さっ…
さっきちゃんと聞こえたよ
オレは…」



「知ってる
立花さんのことが好きなんだよね」


そっぽ向いて歩こうとする三矢さんの腕を僕は思わずつかんでいた



「どうしたの、三…ん」



何かが鼻に軽くぶつかった




僕はいま



…キスしてる

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