レモンスカッシュ
第3章 M/O
続 O side
「ほら、早く行くよ?」
散歩に2人一緒に出た。
平日の午前中。オフィス街だから、そんなに人は居ない。
俺の家の裏道。
緩やかな坂道を、ゆっくり上る。
「寒い」
「さみぃ」
最初はぎこちなく離れていた2人の間も、徐々に縮まっていく。
「あ、あの梅綺麗。」
目線をあげればちらほらと咲き始めた、梅の花。
「こういうのの絵、描かないの?」
「俺はねぇ、静物画はあんまり…」
「ふーん。じゃあ、俺描こっかな。」
「良いじゃん!描いてよ!で、また俺の個展で飾ろうっ!」
「そうだねー考えとく。」
笑い合いながら、ふたり手を繋ぐ。
この手を、離さないように。
もう一生、離さないように。
下らない話をしながら、笑い合える日々が続くように。
互いが互いの夢を応援できる日々が続くように。
こんな毎日が、いつまでも続くように。
毎日、確かめ合うんだ。
好きだよって。
どんなに時が流れたって。
どんなに季節が移ったって。
この想い、変わる事はない。
ふたりだけでも、未来に向かって。
end