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レモンスカッシュ

第4章 M/A


Mside




「では以上で会議は終了です」

司会の教頭先生が言うと、先生方が口々にお疲れさまでしたーと言いつつ席を立つ。


「あ、松本先生!」


声の主は二年の学年主任の…


「櫻井先生…お疲れさまです。」

「すいませんね…やはり、相葉はダメでしたか…」


今まで行われていたのは、夏休み前の成績会議。
一学期の成績を全教員で共有するのだ。

その中でも、成績が振るわないものは夏休みの補習に呼び、二学期からの授業に備える。


相葉、とは櫻井先生のクラスの生徒で、他の教科は可もなく不可もなく、なのだが…
俺の教える化学ではすこぶる悪い。



「うーん、このままだと学年末がヤバいかなぁと思いまして…」

「そうですか。では、よろしくお願いします。」


「いえいえ…って、ウチの二宮も政治経済ヤバいですから(笑)」

「まぁ二宮くん、頭は良いですから…」

「くれぐれもよろしくお願いします。」



俺は3年の理系クラスの担任をしている。
3年で必修の政治経済は、理系のヤツらには全くの無関係で…
殆ど誰も真面目にやらない。


その中でも二宮は、毎回授業で爆睡している、
と櫻井先生から聞いている。




明日の終業式で相葉に与える課題を作りつつ、定時を過ぎた職員室から徐々に人の気配が消えていくのを感じた。









「失礼しまぁす…ねー松本先生ー」

「お前まだ居たのかよ…」

コソッと職員室に入って来たのは、女子みたいな喋り方をする二宮だった。





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