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レモンスカッシュ

第4章 M/A

夕方。

「じゃあそろそろ、帰るね。」

「そうね、…いつでもここに来なさい。」

「うん…ありがとう…」

「あと、明日は学校休みだろ?ちょっと話したいことがあるから、ここで待ってるよ。」

「わかった。じゃあお昼頃くるね。」


次の日。

また、ばぁちゃんちに行ったらばぁちゃんがご飯を作ってくれた。
普段は家で、親はほとんどご飯作らないし、家に材料もないし、

…俺にはお金、渡してくれてないし。

だから、食べないこともよくあった。


ばぁちゃんのご飯は、すごい美味しくて。
すっごく、


あったかかったんだ。



食事を終えて一息ついてたら、

「雅紀…あんた、高校は別のところ、行きなさい」

「へ?」



「もう…こんな田舎には居たらダメ…」

「ばぁちゃん…」

「家出て、一人暮らししなさい」

「…」

「このまま、あの家に居ても…」

「言わないで。…今は、まだ」

「雅紀…」



ちょっと、

考えさせて。



そう言って逃げるように出てきたばぁちゃんち。


考えるはずが、何も考えたくなくて。


だって、こんなことのない未来なんて、

俺が想像したら…




想像したら、すべて消えてしまいそうだから…



夕焼け空が広がっていた。



何をするのが正解で。

何をするのが間違いか、なんて。


わからないんだ。



人に優しくされる方法がわからない。




ねぇ、




俺はばぁちゃんに頼ってもいいの…?










1か月後、

季節は、もう秋になっていた。


「ばぁちゃん?」

「おお、雅紀。よく来たねぇ。」

またご飯を作ってくれたばぁちゃんは、俺が食べるのをニコニコと見つめてくれた。



「ねぇ、ばぁちゃん。」

「ん?」

「俺…家、出てもいいの?」

「もちろんだよ、わたしが、出せる分だけは出すから…」

「ありがとう…」


あの日も、俺は泣いた。










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