レモンスカッシュ
第4章 M/A
しばらく泣いて、
やっと落ちついた俺たちは、
お茶を入れなおして。
「先生、ごめんね。」
「謝んな。俺が好きで聞いただけだよ。」
「で、さ。…これ、誕生日プレゼント。」
「え…?」
雅紀がおずおずと差し出してきたのは、
うす紫と、黄緑のネクタイ。
「いいの…?」
「うん。よかったら、使って?」
「うん。使う。ありがと。」
雅紀の親に伝えたい。
あなたたちの息子さんは、
何にも悪いことなんてしてませんよ?
「先生、」
「ん?」
むしろ、…
「大好き。」
とても。
「俺も」
とても、いいお子さんですよ?
「俺の方が、好きだね。」
「え?なんで、せんせ…」
雅紀の言葉を遮るように、雅紀を抱きしめた。
「雅紀、ひっこそ?」
「え?」
「渋谷区に、ひっこそ。」
「え…?」
「渋谷区なら、同性でも、認められるから。」
「っ…せんせ…っ」
また俺が誕生日プレゼントをもらっちゃった、と。
雅紀がふふふって笑った。
fin