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黒猫ニーノと相葉さん。

第17章 夢幻泡影。

慶一郎サンがふわりと微笑った。



「じゃあ…僕からも伝言をお願いしていいですか?」


「ええ。」


そのくらい…イイよな?
許してくれるよな? マツニー。




「僕も…シゲ君に出逢えて良かったと
君のことは忘れないと
そう伝えて頂けますか?」


「…わかりました」

「それから…」


「それから…?」



「またいつか逢える日を楽しみにしてると。」



オイラは強く頷いた。



「風が強くなってきましたね。
夜の海は冷えますから
あなたもそろそろ帰った方がいい。
今日はわざわざありがとうございました」


深くお辞儀をして
去っていくその背中に
忘却魔法と復活愛のルーンの魔法をかけた。




「しゃらしゃらぽん!!」





忘れるな。



忘れないでくれ。




ありったけの力を込めて
ウッドワンドを大きく振り上げた。















「よっ。シゲ。どうだ? 独房生活は。」

「ふふっ。お世辞にも快適とは言えないよね」


シゲがクスリと笑う。




「ありがとうね、オーノ君」

「ん?なんだ?」


「僕の為に、色々動いてくれたんだってね…」

「バーカ。大したことはしてねぇよ。
ここ出たらさ、月ノ湖に行かね?
鯛釣ってやるよ、鯛!」


「うん。期待しないでおくけどね(笑)」

「なんだとぉっ?!」








夢幻泡影。

それは儚いものを指す。


そこに『恋』が入っていない理由が
なんだかちょっと分かった気がした。

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