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ずっと隣で笑っていて

第3章 第三話

部屋に戻り 退院の準備をしていた

廊下から聞こえる足音で智だとすぐわかる

「翔くん ただいま」
「おかえり 智」

急いで帰ってきたんだろうな

抱き締めた智の息が上がってる

「慌てなくても俺はここにいるのにさ」
「早く会いたかったから」

頬を赤く染める智がいとおしくて

抱き締めた腕に力を込める

「痛いよ 翔くん」
「あっ!ごめんね 力入れすぎた」

「ねぇ 何してたの?」

「明日退院していいってさ さっき先生に言われた」

智の目が大きく開いた

「ほんと?」

「うん ほんとだよ」

「ほんとにほんと?」

「嘘言ってどうするんだよ」

智が俺の頬を引っ張る

「イタッ」

「夢じゃないんだ」
「ひどくねぇか?自分の頬引っ張れよ」
「翔くん…」

智が抱きついてきた その肩が震えている
「泣くなよ 今まで淋しい思いさせてごめんね 明日からはずっと一緒だからね」

「うん」とうなずく智の目からは幾筋もの涙が溢れていく

ごめんな 嘘ついて… 初めてお前に嘘ついた

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