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ずっと隣で笑っていて

第24章 第二十四話

あれから五年…


町も 海も 瓦礫がなくなった 家もなくなった

だだっ広い土地だけが残った


高台に登る


眺める海はあの日と同じく キラキラ波間に陽をうけて輝く


一緒に見たかったな…

「智くんーーー」


叫びは波音に消えていった

拭いても拭いても
涙が頬をつたう


古ぼけた公衆電話が目に入った


あの日 死んだ人と話せるって教えて貰ったままの姿があった


扉をあけて 受話器をとった


つながるはずなんてない


電話線も切れてるんだから…

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