イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第10章 悲しみの先に
吐き出すようにすべて話し終えたテリザは、いつの間にか泣いていた。
母に全て打ち明けた時以来流す涙だった。泣くな、泣くなと自分に言い聞かせ、今まで我慢していた分が溢れ出したようだった。声もなく涙を流すテリザを、クリスは黙って見守っていた。
「すみません、こんなことを話して」
消え入りそうな声で、テリザはそう言った。
「何も言わなくていいです。ただ……聞いてほしかっただけ、なの、で……」
しゃくり上げながら言うので、言葉が途切れがちになる。ぼろぼろと、後から後から涙が溢れて止まらない。何かが壊れてしまったようにテリザは泣いた。