
昔と今は。
第3章 始まり(2)
「大丈夫ですよ。何時も言ってるじゃないですか、わたくしはちょっとやそっとのことじゃ死なないと。」
優しく諭すように答える。
「でも、メアリーに何かあったら、僕っ…」
シルトの目から伝う涙を手で拭い、優しく微笑む。
「ふふっ、そんなに心配しないでください。こう言っては悪いですが、シルトさんはまず自分の心配をしたらいかがです?」
そう言うと、何かを思い出したようにハッとする。
「そうだっ、門の結界が解けてたんだよっ!!」
「え…?結界…ですか…!?」
意外な事実。
結界が解けるなんてこと、常識的に考えてないことだった。
何故だ、何故だと理由を考えるも、なにも思いつかなかった。
それほどまでに幻想的な出来事だったから。
「メアリー、外、行こっ……!」
私の手を掴むとシルトは立ち上がる。
私も衝動的に立ち上がり、シルトと共に門へ向かって走り出す。
足音は立てないようにし、尚且つ素早く、というのは難しかったけど。
微かに外から聞こえるのは、雨音が混ざっていた。
そして、風が強いのか、木々が揺れる音。
…そう、雨。
私は吸血鬼。水は大丈夫なのか、心配事だった。
「わたくしって、雨、大丈夫なんですかね……?」
「雨?……本当だ…。あ、でも、僕傘あった気がするから」
二人立ち止まって肩で息をする。
そういえば、シルトが来たのも雨が降っていたな、と頭の隅で。
「でも、シルトさんが来たのって、最低でも10年前ですよね…?傘、まだ使えるんですか?
それに、まだ保存してあるとは限りませんし…。」
考えられる最低の可能性は一番確率が高いように思えた。
みるみるうちにシルトの表情が青ざめていく。
「ああああああ、どど、どうしようっ……!」
少し悪い事をしたかな、なんて罪悪感。
その代償として、自己犠牲だが、限りなく安全性の低いこの提案をした。
結果論としてそれが一番良かったかもしれないから。
「…時間にもよりますけど、わたくしも少しぐらいなら大丈夫だかと。なので、なるべく急ぎましょう。」
私も吸血鬼とはいえクオーターだ。 だから多少は大丈夫な筈。そう思うしかなかった。
「うっ…分かった。ごめん…じゃ急ごっ…!」
そして、また走り出した。
…まだ時はそんなに経ってはいない筈です。
またあの人に会えるといいですね…
優しく諭すように答える。
「でも、メアリーに何かあったら、僕っ…」
シルトの目から伝う涙を手で拭い、優しく微笑む。
「ふふっ、そんなに心配しないでください。こう言っては悪いですが、シルトさんはまず自分の心配をしたらいかがです?」
そう言うと、何かを思い出したようにハッとする。
「そうだっ、門の結界が解けてたんだよっ!!」
「え…?結界…ですか…!?」
意外な事実。
結界が解けるなんてこと、常識的に考えてないことだった。
何故だ、何故だと理由を考えるも、なにも思いつかなかった。
それほどまでに幻想的な出来事だったから。
「メアリー、外、行こっ……!」
私の手を掴むとシルトは立ち上がる。
私も衝動的に立ち上がり、シルトと共に門へ向かって走り出す。
足音は立てないようにし、尚且つ素早く、というのは難しかったけど。
微かに外から聞こえるのは、雨音が混ざっていた。
そして、風が強いのか、木々が揺れる音。
…そう、雨。
私は吸血鬼。水は大丈夫なのか、心配事だった。
「わたくしって、雨、大丈夫なんですかね……?」
「雨?……本当だ…。あ、でも、僕傘あった気がするから」
二人立ち止まって肩で息をする。
そういえば、シルトが来たのも雨が降っていたな、と頭の隅で。
「でも、シルトさんが来たのって、最低でも10年前ですよね…?傘、まだ使えるんですか?
それに、まだ保存してあるとは限りませんし…。」
考えられる最低の可能性は一番確率が高いように思えた。
みるみるうちにシルトの表情が青ざめていく。
「ああああああ、どど、どうしようっ……!」
少し悪い事をしたかな、なんて罪悪感。
その代償として、自己犠牲だが、限りなく安全性の低いこの提案をした。
結果論としてそれが一番良かったかもしれないから。
「…時間にもよりますけど、わたくしも少しぐらいなら大丈夫だかと。なので、なるべく急ぎましょう。」
私も吸血鬼とはいえクオーターだ。 だから多少は大丈夫な筈。そう思うしかなかった。
「うっ…分かった。ごめん…じゃ急ごっ…!」
そして、また走り出した。
…まだ時はそんなに経ってはいない筈です。
またあの人に会えるといいですね…
