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嫌われ狸の一生

第8章 アルバイト

そういえばヤツの名刺があったな。

ボクは名刺の住所を頼りに20㌔以上の道のりをバイト代を求めてヤツを追いかけて自転車で走った。

よかった、ヤツはまだ家にいた。

自転車でそこまで来たのにヤツはずいぶん驚いていた。バイト代は弾んでくれるし、軽トラで送ってくれるし。

お前ほどのバイタリティがあれば屋台からだって大きな店にできるかも知れない、一緒にやらないかと言われた。

アテもない放浪の旅を続けて気が向いたら屋台で店を出す、そんな生活もいいなと一瞬思ったが、それは断った。

そのアクティブでパワフルなところを忘れなければどんな職場でもがんばれると言ってヤツは去って行った。

これがボクのバイト人生。
アクティブでパワフルなところは忘れていないはずだ。うつ病になったってボクは逃げたことはない・・

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