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嫌われ狸の一生

第8章 アルバイト

倉庫の状況を見て、足りないと責任者の尻を叩いて配送センターから取り寄せたりしていたが、配送センターの在庫も底をついた。

だったらと、そばやうどんがなくなったスペースに比較的安くて手軽に買えるだし巻きや黒豆などのおせちを並べたらこれがまたどんどん売れた。

最終日に責任者に呼ばれてぜひ正社員にと言われたが、もう就職先は決まっていた。
この街から、いやあの家庭からは遠ざかりたいからそれは変えられない。
ボクは深々と頭を下げて丁重にお断りをした。

就職した会社・・現在の会社には卒業したらすぐに来るように言われていたので春休みのバイトはない。

ボクの最後のバイトはたこ焼やお好み焼きのファーストフード。
ボウリング場の駐車場でやっているんだけど、けっこう流行っていた。

当初は土日だったが、三年生の三学期って二月ぐらいから学校にほとんど行かないので、平日も増やした。

学校に行かない時は運転免許を取得したりする就職への準備期間だったが、自動車学校に行くカネなどない家だったので、免許は就職後に取得することにした。

自動車学校に行っている間はノー残業にしてくれたのはうちの会社の優しいところ。

そのファーストフードでは二度事件があった。

一回目は男四人が車で来てたこ焼やお好みなどを注文。作って商品を渡すとカネも払わずに車に乗って去ろうとした。

怒ったボクはボンネットに飛び乗ってガラスを蹴った。ヤツらは激情して降りてきたが、複数対一人の鉄則はボス格を倒すこと。

テメーらが盗もうとした代金総額はオレの一日のバイト代に相当するんだコノヤローとボス格をボコってやった。

ボス格が叩きのめされると、他一同は戦意を失う。

ボス格が財布ごと置いて逃げると、それに続いて一同も逃げて車は去った。

財布の中には1万円ぐらいあった。
売上金より多い分は授業料だ。
物を買う時にはきちんとおカネを払わなければいけません・・ヤツらがその歳まで分からなかった幼稚園児でも分かる常識ってヤツを優しく(笑)教えてあげたんだから授業料としては休過ぎる。

もうひとつは、もう疲れたから商売をやめて旅に出ると置き書きをしてオーナーがいなくなった。

旅に出ようと何をしようと勝手だが、バイト代をまだ払ってもらってないんだよ。

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