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嫌われ狸の一生

第23章 子供のこと

親子なんだから遠慮なんてするなと言いながら、ボクのことを怖がっているのかと少し悲しくなった。

ガストや安楽亭の時はお子様セットという枠の中でどれがいいか聞いてあげたので気づかなかったが、回転寿司のように自由に欲しいものを取っていい環境の中で初めて気づくこともある。

その後はまったく遠慮することはなく、ふてぶてしくなっていったが・・・(笑)

妻が戻ってきてから子供のために家庭環境が悪すぎると思って、無駄な争いはやめようとか、頼むから静かにしていてくれ、そうすればボクだって何も言わないし、何もしないと言ったのだがムダだった。

妻は何かに憑りつかれたように妄想を見て悪口雑言を繰り返し、母親を憎んで悪口を言い続ける。

妻は人を怒らせる天才だ。
怒りのツボを確実に突いて、上機嫌な相手も一気に沸点をぶち破らせてしまう。
人を怒らせる大会があったら世界チャンピオンになれるだろう。

幼稚園の年長になったある日曜にボクと妻は幼稚園に呼び出された。平日はボクが仕事をなかなか休めないからだ。

そして子供が発達障害があることを告げられた。
そんなにおかしくはないのだが、知的遅れがややあって、普通の学級ではついて行けないから特別クラスのある小学校に進学する方向で進めるけどよいかという話だった。

悲しかった。
妻はボクみたいなおかしな人間の子供だから障害なんてとボクを責め立てるので、売り言葉に買い言葉でキサマのような精神異常者が生んだ子供だからだ、すべてキサマのせいだと言ってやった。
再び大喧嘩。

子供が発達障害になってしまったのは怒声の絶えないこの劣悪な家庭環境のせいもあると思うと悲しくなる。

でもね、ボクにはどうしようもなかったんだよ。

ボクだって怒声の絶えない家庭に育った。それに暴力や破壊まであったんだから地獄だよ。

でも堪えてきたんだ。
そのボクの子供なのに、キミはどうして発達障害になんか・・・と子供を見ながら心の中で泣いたりもした。

暴力や破壊はいけないと、座禅修業だって続けてるんだよ。だから暴力や破壊はしないよ。
それなのに、神はまだボクに試練を与えるのか。

今までの人生で普通の人の何倍もの試練に堪えてきたじゃないか。

それなのに、まだまだ試練を与えて、子供にまで罰を与えるとはあまりに理不尽でないかと、神や運命を恨んだりもした。

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