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嫌われ狸の一生

第34章 崩壊家庭

できない苦労、パワハラにも堪えて20年以上もがんばってきた仕事を娘のせいで台無しにされたらいたたまれない気持ちだった。

そしてボクの母親を執拗に憎んでの悪口雑言。

実はこの年の夏に妻の父親は心筋梗塞で入院して一時はかなりヤバかった。
見舞に行こうとしたボクを妻は強硬に拒んだ。

もしこの時にボクが早く死ねばいいのにとかいい気味だとかひどいことを言ったらどんな気持ちだったか、そういうことも踏まえて自分がしてきたことをよく考えろと言ってくれたらしい。

しばらく実家で考えた妻が出した答えが3人しかいない家族だからやり直したいとのことだった。

自分の心の病気ともちゃんと向き合う、借金をしないこと、浪費もしないこと、ボクの母親の悪口を言わないことを固く約束した。

妻の性格は性格だから、仲がいい夫婦ってわけにはいかないけど、平和な家庭が戻ってきた。

ボクの悪口は言うことはあっても母親の悪口は言わなくなった。

人を憎んでないといられない妻の性格だから、リバウンドも懸念されるし、完全に安心はできないけど、ボクが憎まれてるぐらいならいいかな。
子供や犬に憎しみが向かなければ。

子供のことも完全に安心はできないが、心を入れ替えてがんばっているようだ。

がんばって家庭環境を改善しようとする両親に応えなければならないし、今度悪いことをすればボクに見捨てられることもカレが頑張る原動力になっているのだろう。

こうして妻の両親の助けによって長い長い崩壊家庭は一応の終わりを迎えた。

この後どんな人生が待っているかは分からない。

あの時、泣きながら妻の両親にすべてをぶちまけたのは、今まで一度も他人に助けを求めたことのないボクが人生でたった一度叫んだ助けてだったのかも知れない・・

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