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嫌われ狸の一生

第34章 崩壊家庭

妻は最初は借金のことは両親が問い詰めても言わなかったそうだ。怒られると思ったのだろう。

借金返済を迫られて、ネットの悪徳業者からも借りてしまった。
よくテレビのニュースで出るような、大量のピザを注文されたり、ひっきりなしに電話が鳴ったりのいやがらせも受けていた。
電話を替えたのはこのため。

勝手に電話を替えて、変更手数料だってバカにできないし、ボクのカネで使わせてもらってるのを何の断りもなく勝手に替えたのでボクにも怒られることになったが、両親も急な電話変更に疑問を感じてキツく問い詰めたらやっと借金のことを打ち明けたとか。

ウチの親とだって関わらなくて済んでいるし、ボクだって単身赴任でいない。本来は不満なんてないはずなのに、不満を見つけて募らせて、どんどん負の思考をしてしまう。

これが妻の心の病で憎しみへつながっていく。

パート先に悪い友達がいて、やはり世の中への不満てかを口にして、妻は悪くない、悪いのは夫や夫の母親だと憎しみを増長するような話をする。

彼女は派手で、レストランとかで外食することが多いからそのカネを工面するために借金をした。
町内会費を使い込んだのもこの女との付き合いであった。

この女は派手に食事とかをするために風俗でカネを稼いでいたらしい。

妻はパート先を変えた。もう二度とこの女とは会わないことを固く約束した。

また、このような家庭環境への不満からか、子供は頻繁に学校をサボるようになっていた。
ヘンな宗教にハマりかけていたこともあるし、発達障害に悩んで児童相談所に自分で行ったこともある。
子供は妻に小遣いを要求するようになった。

妻はボクが帰る度に子供と出かけることや子供を単身赴任先に連れて行ったことに危機感をもっていた。
嫌われたくない一心で要求されるままに小遣いを渡していた。これも借金の要因。

脅迫やいやがらせの取り立てが激しくなって子供に小遣いを渡せなくなった時に例の妻の財布からカネを盗む事件があったとのこと。

ボクは子供を可愛がっていたつもりで、心の闇には向き合っていなかった。その闇を生み出したのはこの家庭環境だ。
これを機に子供ともよく話し合った。

妻の両親は借金の取り立てがボクの職場にまで及ばないうちに解決できて本当によかったと言ってくれた。

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