
どうか、
第1章 明野の加害。
「明野、この書類の整理頼んでいい?」
僕のデスクのすぐ前にいる高木はデスクトップ越しにひらひらとファイルを渡してきた。
次企画の案に関する資料を移すはずの僕のディスプレイはよく見ると全くもって文字の一つもなくて、いかに集中せずにいたかが痛感できる。
「…わかった、やっとく」
「助かるわ」
そういって高木はすぐに目線をパソコンへと戻したようだった。昔から仕事熱心である。
いくらでもチャンスはあったのだ。
ただ賢い男のようにうまくやることも、汚い男のように貶めて奪うのも僕には無理だった。
高木にとって僕は友達。
僕にとって高木は____
