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10分屋【ARS・N】

第6章 夫婦

サエコがウエダの言いなりな訳がわかった。

サエコのあの細い肩で、父親の会社とその従業員を支えていたんだ。

ウエダの機嫌を損ねないように、表ではおしどり夫婦を演じて、裏ではウエダの性癖を満たすために耐え忍んでいるんだ。

俺が言うのも何なんだけど。

政略結婚であっても、社会的体裁を取り繕うための妻であっても。

サエコに対して、ひとかけらでもウエダが愛情を持っていてほしいと願った。

でないと、サエコが救われねぇ…。

「おっはよー!」

「はよ。」

「ふぁぁ、おは~。」

他のメンバーが次々とスタジオ入りした。

俺はビジネス誌をそっと閉じた。



【夫婦・おわり】

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