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Face or Body

第3章 カケル(27)

『もう二度と足を踏み外すことなく行きなさい』
そう
俺を見送ってくれた
刑務官の言葉を頭を下げて聞いてから
俺は4年ぶりの
自由な風を頬に受けた。

裁判中にお世話になった
弁護士のもとに挨拶に行き
そのまま
無縁仏化した
母の墓前に手を合わせた。
泣けてきた…
泣いて泣いて泣いて…
人生一生分の涙を流して………………
俺はヒトではなくなった。

俺の一生に消えない傷を残した
アイツらに
俺が受けた以上の傷を…
深く深くえぐるような傷を与えないと…。

アイツら…
俺をあの駅のホームで押さえつけた
海浜署川島交番の
マチマチアキラとアオヤマヒカル…
いや
今では
巻町ご夫妻か…。

服役中に知り合った
闇世界の情報屋には感謝だよな…。

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