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川口京子【カワグチ　キョウコ】42歳は
ここ数日
例えようのない不安に
教われていた。

息子のカズマの様子が
この数日間
見るからにおかしいのだ。

妙にそわそわしたり
何かに怯えているような目をしたり
この前すぐ近所で起こった
拳銃を使った殺人事件を
テレビや新聞を見ては気にしている。

昔は
いつも『ママ!!ママぁ～!!』
って私のあとばかりついてきたし
私の作る手作りのおやつや料理が
大好きだったのに…。

――寂しい……。
もともと夫とは
何年も何年も会話らしい会話をしていない。
夫にとっては
仕事がすべて…。
私はそれでもよかった…カズマがいたから…

溺愛と呼ばれても
私にはカズマがすべて…
カズ君…
昔みたいにママを頼って…。
一人でなにに
怯えているの？
何をそわそわしているの？

ママが守ってあげるから
教えてちょうだい!!

京子は
狙撃事件のニュースや新聞記事を
食い入るように眺めては
自分には口を心を開かずに
背を向けて
すぐに2階の自室へとこもるカズマの姿に
今までの
幸せが根底から崩壊していくのではないか？

そんな
暗黒な闇が心に広がっていくのを
感じていた。


ピンポ――――――――――ン………。

玄関のチャイムがなった。