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Face or Body

第19章 結婚直前最後の事件

デーブの葬儀が終わり…

デーブ…東三条忠興警部補の
年老いた母親が
デーブの骨とともに
田舎へと帰るのを
ヒカルとアキラは
横浜駅まで見送った…。


あの日
デーブが亡くなった日
アキラが病院に駆けつけると
冷たくなったデーブの唇に
乳首をくわえさせながら

流れる涙を拭おうとせず
茫然としているヒカルがいた。

アキラは
そんなヒカルに後ろからそっと
彼女が脱いだブラウスシャツをかけてあげた
……。
アキラに気づいたヒカルは

『デーブさん死んじゃったよ―――ぉ…』
とアキラに振り向いて
涙が枯れるまで泣き続けた。

アキラは
ヒカルをただただ抱き締めて
その悲しみと大きな喪失感に寄り添った。



『明後日だね…』
ヒカルは
横浜駅でデーブの母が乗った列車を
見送ったあとで
アキラに呟いた。

『大丈夫?気持ち… 式を延期してもいいよ…』
アキラはヒカルに囁く

ヒカルは
『ダメだよ。明後日は私とアキラの新しい人生の出発式だよ!! 亡くなったデーブさんも… ユウキ君も… きっと私たちのことを気にしながら旅立っていったと思うもん…
二人で絶対に幸せになりますって… 約束しなきゃ…』
とヒカルは
すべてを吹っ切ったかのように
メガネの奥から
瞳を輝かせた…。

季節は3月に入っていた…。

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