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Face or Body

第21章 オヤジ…そのⅢ

私は
薬物が憎い…

私の本当の名前は…
山縣直【ヤマガタ スナオ】
皮肉な名前だ。

闇世界の頂点にたち
裏から社会に影響をもつ今になっても…
『あなたは一点の曇りもなく、この町のみなさんの暮らしを支えてあげるのよ
…。』
そう優しく
頭を撫でてくれながら
名前に込められた思いを
母から教えられたあの時のことを
思い出すと
苦笑いがでてくる―――…………。

父親は匠という名前だった…。
まさに職人的な手腕で
人を束ねることが上手い人だった…。
港湾の労働者を束ねて
町のみんなにも【親分さん】って
慕われていたよな…。

オヤジと呼ばれる私は
今、あのころの父のように
表世界からドロップアウトした
迷える息子たちから
慕われているのだろうか…?

石渡優【イシワタリ マサル】のように
私の慈愛に
後ろ足で砂を掛ける息子を
私は許さないが…。
そんな父にはない
冷酷さは私だけのものか…。

それも
あの遠い昔…
父を冷酷なほどの用意周到さで裏切った
柳と長谷場から
学ばせてもらったことか…。

そういえば
コウスケを殺したのが
あの長谷場の息子ということと
その長谷場を逮捕した女刑事が
マサルを逮捕し
獄中にいるカケルに
手錠をかけた女刑事と
同一人物であったことには
驚いた…。

アオヤマヒカル巡査部長…

いやマキマチヒカル巡査部長に
なったのか…。

なにかと目障りな女である。

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