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Face or Body

第22章 覚悟…

県警本部機動捜査係…

県警の若手有望格の警察官が
選抜されて配属される部署。
所轄の枠を越えた捜査権が容認され
それぞれの判断で
潜入をともなう危険な手段も駆使して
凶悪または根深い事件捜査を
専門に担う…。

妻であるヒカルが
まさか
その機動捜査係に異動になるとは…。

そのことを
アキラが知ったのは
デーブの墓参りを兼ねた
新婚旅行からの帰途
新幹線のなかだった…。
結婚式で仲良くなった
ヒカルの姉的存在のサクラコが
移動の内示情報をいち早く知り
ヒカルに内示が伝わる前に
真っ先にアキラに連絡をくれたからだ。

サクラコは
潜入捜査では機動捜査の女性警察官は
身体さえ使う…
その箝口令がひかれた事実を
知っていたからだ。
サクラコがかつて姉のように慕っていた
先輩刑事が
身体を使った潜入の末に
不慮の妊娠をしてしまったことを
知っていたからだ…。
そのサクラコの先輩こそ
今の機動捜査係の
サカヤであった………。

アキラはヒカルの熱い正義の理解者である…
ヒカルが
自らの意思で
その身体さえ使い
潜入捜査を展開する姿を想像すると
胸が張り裂けそうになった。

しかし
一方でそんなヒカルを
支えて幸せと心の安定を作れるのは
自分しかいないという
彼なりのプライドもあった。

『サクラコさん、ありがとう!!ヒカルとよく話し合いますね。』
アキラは
そう答えてサクラコにお礼をつたえた。

ヒカルにもその話を伝えた…。

ヒカルは
それでも誰かが汚れ役を買わないと
絶対悪を壊せないなら
私は人柱になる…と
意思の強い瞳でアキラに答えた。



昨日のヒカルとの
むさぼりうようなセックスは…
普通の夫婦としての
最後の交わりだったのかもな…

アキラは
ヒカルからの
『ごめんね…。しばらく音信不通になるよ。今日からいきなりだけど桃花園に風俗嬢として潜入します。 アキラっていう港に絶対に戻るからね!!』
というさっき着いたメールを
何度も読み返した。

そして寝室の窓から
星にヒカルの無事を祈った。

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