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Face or Body

第36章 因果応報

『因果応報か…?』
と大作は呟いたが
すぐにその言葉を掻き消した。

『くそくらえだ…。あのとき、俺が上海マフィアと手を組まなかったら、このベイエリア全部が、上海マフィアの資金源の町にいずれはなっていたんだよ…。 俺は俺なりの判断でこの町を守ったんだよ…。』
大作は
4月の花曇りの空を見上げて
そう呟いていた。



―――コンコン!!

ドアをノックする音とともに
『会長。お呼びでしょうか?』と
長谷場の息子ムネノリから
若頭筆頭の座を引き継いだ
四条一誠【ヨジョウ イッセイ】が
大作の部屋に入ってきた。

大作は
マッハの取り締まりと
改造拳銃の摘発で
衰退が激しい港竜会の財政再建策として
政情不安な
中東方面への奴隷密輸を計画していた。

中東方面の紛争地帯に
女性奴隷を販売し
反政府勢力の組織に
次世代戦力を拡大するため
奴隷を輸出するのだ。

つまり
紛争地帯の兵士たちの性欲解消と
反政府人口を増加させることを
ビジネス化しようと考えていたのだ…。

『しかし… 』と四条は
大作に言葉をはさむ…

『会長はご存じでしょうか?この奴隷密輸には、すでに現地でかなりのシェアをもつ存在がいることを…?』

四条はオヤジなる
闇世界を束ねる強大な力の存在を
大作に伝えた。

『ああ… おおよそ… …そいつの招待は想像済みだよ』
そう物静かに答えた。

大作の瞳に
往年の冷徹な眼光が
少しずつ戻ろうとしていた。

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