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Face or Body

第53章 再会 ~ダンナとオヤジ

『いつか…… すべてを乗り越えたとき… 
一平ちゃん、昔みたいに魚釣りにいこうか』

『そんな日が……… ……くることを祈ってます。』

『来るさきっと…。もっとも今回のことが決着する前に、私自身の積み残したこともやりとげないといけないが……。』
山縣は続けて
『一平ちゃんはもうすぐ定年か?』
と尋ねた。

『ええ… 時間の問題ですよ』
と村山ははにかんで答えた。

『あんなちっちゃかった一平ちゃんが定年か… …私も老いるはずだ。』
寂しげに山縣は笑った………。


山縣と村山はそう
言葉を交わして別れた。


――――――――

『真相が分かるのには、まだ時間がかかるというわけか…』
村山は
海浜横浜組の本社ビル玄関を出て
最上階を振り返り眺めた。
さっきまで
50年ぶりに口をきいた
山縣直…山縣の兄貴の言葉を
村山は反芻した………。

妊娠しやすい日に
ケダモノたちに
3日間続けてレイプされ続け
すでに
今頃は
ヒカルの精神は尊厳は
粉々だろう………
もう廃人と化しているかもしれない………。
なのになぜ
あと4~5ヶ月もかかるのだ
なぜカケルの一味は
ヒカルを解放しないのだ…

――――もしかしたら……!!
復讐の完結には
まだもうひとやまあるのか?

それに………。
山縣の口にした『積み残し』とは
いったいなんなんだ?

―――――

そんな村山の思索を
中断させるように
ケータイの着信があった。

名瀬ツトムが
『もう!!村山さん!!単独行動しないでくださいよ!!』
と激しい口調で
電話の向こうで叫んでいた。

村山にはなぜか
タモツの若さが眩しく感じた。

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