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Face or Body

第53章 再会 ~ダンナとオヤジ

『ある日…』
山縣は今回の
ヒカルへの拉致監禁暴行事件の
根っこを
ダンナこと村山に語り始めた……。

3年以上前の
あの闇世界での不肖の息子…
福間康介【フクマ コウスケ】による
海浜市連続婦女暴行傷害事件および
電車内痴漢事件。

その犯行のすべてを
闇世界での息子
コウスケの懇願で
表社会での息子
高城翔【タカシロ カケル】に被せたこと

そしてそのカケルへ
手錠をかけたのが
ヒカルであったこと…。

コウスケをたすけるために
犠牲になったカケルの無念の代償に
今…
カケルのヒカルへの復讐を全面的に
支援していること…。

『つまり… ことの発端は、ヒカルの誤認逮捕なのか?兄貴…』
村山は
この出来事の根っこの深さに
深いためいきをつく。

『なあ…一平ちゃん。 この世に絶対正義なんてないんだよ…。正義なんて、それぞれの立ち位置によって違うんだ……。 あの出来事にしてみれば、カケルにとりマキマチヒカルは彼にとっては悪なんだ。 もちろん私やコウスケも悪なんだが、私はカケルにとっては利用できる悪で、倒すべき悪ではないってことだろう…』
と山縣は語った。

『山縣の兄貴… せっかく50年ぶりの再開の夜… …もっといい形で会いたかったです… ………。』
村山は山縣に言った。

『どうするね?一平ちゃん。私を重要参考人として連行するかい?私にとれば、これはカケルへの罪滅ぼしだ…。』
と山縣は村山に
静かに話しかけた。

『いえ。連行はしません…。俺はヒカルの命さえ無事ならば…。彼女は未来のベイエリアには絶対に必要な希望の灯火です。あのまっすぐでしなやかな正義に俺はベイエリアの未来を託したい。 ……俺や兄貴ができなかった悪に染まらない正義を彼女なら貫けると思いますから…。』
と村山は静かにしかし
強く答えた。

『マキマチヒカルは、あと4~5ヶ月後に、私の命にかえて無事に返す。』
と山縣は村山に誓った。

『なぜ4~5ヶ月なんだ?ヒカルはもうカケルという男からの天誅を受けたんじゃないのか?兄貴…。』
その村山の問いかけに
山縣は
『この復讐劇は根深いのだよ。修羅場を潜り続けた私が心底驚くほどに…』
と答えた。

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