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天使と悪魔

第10章 想い・その心

・藤ヶ谷side

バサッ、バサッ!どこだ?何処にいる。

そして必死にその姿を捜し飛び回ったけど見つからなくて。

ガクッと力を落とし、降り立った場所は―



藤「ここは、あのときの」



あいつと一緒に入った温泉



藤「くっ、なんで…だよ」



どうして、俺の前から消えちまったんだ。



藤「お前がいなきゃ俺は」



涙が溢れて止まらない



藤「北山あぁーっ」



誰も聞いてる者なんていないその場所で俺は叫び続ける。



藤「他には、なんにもいらないから!お前だけが傍にいてくれたらそれでいい、だから頼む戻って来てくれお前を失ったら俺は生きてはいけない」



そして―

なにがなんだか分からないまま部落へ戻ると

わた達が帰って来たところへ遭遇したってわけ。



横「太輔、お前なにやってるんだ?こんな所でミツの傍にいなきゃダメじゃん」

藤「わっ、わた、その北山が…」

ニ「ミツがどうかしたの」

藤「消え…た」

千「なっ、なんで!?」

藤「分からない」

塚「えっ」

藤「分からないんだよ俺にも、クッ」

玉「そんな」

河「なわけねぇだろ」

五「まさか、魔が関係しているんじゃ」

横「どういうこと?ちゃんと説明して太輔」

藤「わた、クッ」



俺は、そのときの状況をみんなに話して聞かせた。



横「ちょ待て、それって」

河「あいつが自分から出て行っちまったってこと?」

塚「どうして、そんなことを?」

藤「なぁーどうしたらいい俺があげたネックレスも、置いて行っちまったし」

五「じゃ場所の特定もできないじゃん」

藤「教えてくれよ、わた」

横「太輔」

藤「あいつ、なんで黙って消えちまったんだ」



悲しみが心を包み込んでく

北山を失う事、それは俺にとって愛を失うのと同じ。

生きる糧を無くしてしまう意味でもあったんだ。

その恐怖と不安で心が押しつぶされそうになりながらも。

あいつを求め、さ迷ってく何処とも分からぬ道を。





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