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天使と悪魔

第14章 すれ違う想い

・藤ヶ谷side

藤「話したんだ」

北「うん」



その日の夜―



藤「北山、ニカのことなんだけど俺にも詳しく教えてくれない」

北「藤ヶ谷」

藤「俺もダークの長としてあいつを見守ってやりたいんだ」

北「分かった、ありがと…その‥太…輔?」

藤「へっ?」

北「太…輔?‥たい」

藤「ちょ、なんで疑問系なんだよ クスッ」

北「…すけ?‥たい」

藤「ひろ、フッ」



ギュッ!



北「うわっち藤ヶ谷!?」

藤「太輔だろ ニコッ」

北「‥‥っ」



そう言うと、顔を真っ赤にして俯く。

ふっ、可愛いやつ。



北「あっ、うん、ニカの話し…な」



その悪魔は確かに魔王の子だと、こいつに言ったらしい。



北「俺の父親は」



愛する人の命と引き替えに生まれてきたニカを。

自分の子に対して注ぐ愛情と同じように。

あの洞窟で精一杯、育てて来た。



北「んだが、ある日」



とつぜん襲って来た見知らぬ男たち。

羽根の色からしても悪魔。



北「そいつがまだ幼い怯えるニカにこう言ったんだ」



“お前の中には魔族の血が流れている、今すぐ自分らの所へ来い”



藤「えっ、じゃニカは」

北「覚えてないんだわ」

藤「どういうこと?」



“この子に手を出すな”

父親はニカを護ろうと必死で戦い。

しかし、相手の悪魔は半端なく強くて。



北「いま思うとハーフだったんだな」



殆んど相打ちみたいな状態だったらしい。

目の前で“死”というものを見てしまったニカは。

ショックのあまり、その時の記憶をなくし。



藤「くっ」



あいつの笑顔の裏に、そんな辛い過去があったなんて

俺は、胸が締めつけられる思いになる。



北「千賀が、もしあいつに子供ができたら」

藤「ひろ」

北「太輔、俺達は」



愛すればこその不安。

大丈夫だと言ってやりたいが口に出来ない歯痒さ。


藤「そろそろ寝ようか」



コクンと頷くこいつを腕の中へ包み込み。

俺達は眠りについた。

それでも、進んでいくしかないんだと。

心に言い聞かせ―





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