テキストサイズ

天使と悪魔

第21章 運命のとき

・戸塚side

しかし藤ヶ谷は、それにも負けじと羽根を広げ追いかけて行き。



藤「ひろおぉーっ」

北「太輔!」



空中で互いに手を差し伸べ合う2人。

ビュン!

それを、引き離そうとするかの如く吹き荒れる風。



藤「くそったれぇー」

北「もっ、いい戻るんだ」

藤「ひろ、俺はお前を誰にも渡しはしない」

北「太輔」

藤「愛してる、愛しているんだ!」

北「…分かった‥分かったからよ!クッ」



なんでだ?

どうしてこうまでして2人を引き離そうとする。

ドカン!



藤「うわああっ」

北「太輔えぇーっ」



再び襲って来る光りの矢に

もう、あいつの身体はボロボロで。



藤「ひ…ろ‥クッ」



それでも、フラフラになりながら。

追いかけようとする姿に、誰もが堪らない気持ちになる。



千「もっ、見てられない」

玉「ガヤ、くっ」

河「渉このままじゃあいつ死んじまうぞ」

横「くっ」



バサッ!

見かねた横尾が飛び立ち、その後を河合と五関が続いた。



横「もうよせ」

藤「わた、クッ」

河「これ以上は宏光に辛い思いさせるだけだろ」

藤「郁…人」

五「あいつの顔を見てみ」

藤「五…関」



―が、3人に言われ苦渋な表情の北山を見てハッとしたんだろう。

藤ヶ谷は歯を食いしばり、やっと追いかけるのを止めにしたんだ。

すると―



北「ありがと太輔」



北山は、覚悟を決めたかのように天を仰ぎ。



藤「ひろ!」

北「みんなを頼む俺はずっと見てるからよ ニコッ」

藤「くっ」

北「だから笑えって言ってるじゃん、フッ」

藤「‥‥っ」



その言葉に、眼にいっぱい涙を溜ながら笑う藤ヶ谷に微笑み返し。

スーッ!



玉「ミツうぅーっ」

二「ミツ!」

宮「キタミツ、クッ」

戸「北山あぁーっ」



あいつは柱と共に昇天してしまい。



藤「ひろおぉーっ」



あとには藤ヶ谷の泣き叫ぶ声だけが空いっぱいに響き渡り。

俺達は北山が行ってしまった空をいつまでも見続けていたんだ。

いつか、きっと会えるよな

誰もが、そう思いつつ―





ストーリーメニュー

TOPTOPへ