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天使と悪魔

第2章 出会いと再会

・藤ヶ谷side

それは子供の頃の遠い記憶



「坊ちゃん、あまり遠くへ行ってはダメですよ」

「はーい」

「太輔、早く早くぅ」

「転ぶなよ渉」

「平気さ、あっ!ドテッ」

「だから言ったじゃーん」

「キャハハハ」

「えへっ」



俺は同い年の郁人や少し上のわたと、よく一緒に遊んでいた。



藤「あっ、誰かいるぞ」

横「本当だ」

河「こんな所で、何をしているんだろう?」



そこは、小高い丘になっていて見晴らしのいい場所。

その人の背中には白い羽根があり。



「天使だ」

「初めて見る」

「綺麗だなぁ」



毅然と立つ姿は、神々しいまでにも美しく。

俺達は、ただ見とれていたんだ。

すると、脇からちょこんと顔を出した小さな子供が。



河「いくつだろ?」

横「太輔や郁人と同じくらいじゃない?」

藤「‥‥‥」



クルクルとよく動く瞳は、好奇心旺盛で周囲を興味深そうに見渡している。

一瞬、そうほんの一瞬だけ視線が…



藤「あっ」

河「どうしたんだ?」

藤「いや、なんでもない」



合わさった瞬間、ニコッと微笑んだ顔を。

俺は、今でも忘れることができない。

それから、その天使は子供を連れ飛び立ってしまい。



横「そろそろ帰ろうか?」

藤「‥‥‥」

河「また会えるといいな」

横「そうだね、フッ」



“会いたい”子供心にそう願った想い。



「坊ちゃん、坊ちゃん!」



以降 俺は、毎日 村を抜け出しては。

あのとき会った天使の子を捜し回っていたんだ。

俺達と、どんな関係なのかを知るよしもなかった幼い頃の自分。

そして、数年が経ち。

再び俺は、その天使に遭遇する事となる。

運命に導かれるかの如く。





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