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天使と悪魔

第2章 出会いと再会

・北山side

「ひろ、ひろ」



俺には弟がいる、ちょっと訳ありな。



「なに?父さん」

「高嗣のことなんだが」



あれはまだ5歳くらいの時



「最近、周辺で不穏な空気を感じてな」

「どういう意味で」



“ほぎゃ、ほぎゃあーっ”

“しっかりしろ気を確かに持つんだ”

“ママン、ママーン”



代わりに失った母の命。



「もし父さんに何かあったら」



数ヶ月前、他の部落へ用を済ませに行った母親は。

その帰り道、悪魔と遭遇し



「ほほーこれは美しい」

「ハッ」



あのとき俺は待ちきれなくてよ。



「待ちなさい、ひろ」



父親が止めるのも聞かず、部落の外へ飛び出して。



「あっ、やめろ、よせ」



目の前でその衝撃的な光景を見てしまったんだ。



「いいぞ、さすがは天使の長(おさ)堪らん」

「はっ、やっ」

「この一発で子を孕め」

「嫌だあぁーっ」

「あはははっ」



今でもハッキリと眼に焼きついている。



北「ママン、ママーン」

母「ハッ、ひろ…くっ‥逃げな…さ‥早…く」

北「あぁ、あ、ガクガクッ」

悪魔「あれはお前の子か?可愛い顔をしている将来が楽しみだ ニヤリ」

母「ひろーっ」

北「ママンを、くっ放せ」



ガンガンガン 叩いても蹴っても不敵に笑う悪魔。



「ほら出るぞーフフッ」

「うっわあぁーっ」

「祐希いぃーっ」



振り返ればそこに父の姿があり。



「貴様よくも、よくも我が妻を、キッ」

「もう手遅れだ、種付けは完了した」

「なに、クッ」

「この種は特別でな必ずや子がデキる」

「妻は渡さん」

「構わん俺の役目はもう、終わったからな」



そう言って去って行き。






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