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天使と悪魔

第4章 絡み合う糸

・藤ヶ谷side

大倉「とにかく放せ、じゃないと」



が、その手がギリギリっと弓を張った次の瞬間!



北「よせ忠くん!」



とつぜん俺を、庇うように北山が前へと出て。

ばっ、バカ!そんなことをしたら。



大倉「‥‥っ」

千「宏光、ねっ、ちょ何をやっているの?」

北「討つんじゃねぇ」

大倉「どうして?何で庇うん」

千「そうだって、悪魔なんかを」



ほれ、みろ。



大倉「お前は俺らの長なんやで今まで、何人の仲間がこいつらにやられたと思ってるんや、なのに」

北「確かに、でもこいつは藤ヶ谷は違う」

藤「あぁーめんどくせ」

北「‥‥っ」



俺は怠そうにそう言い。



藤「悪いけどそういうゴタゴタは嫌いなんだ」

北「藤…ヶ谷?」

千「なっ、なんだ」

藤「返してやるって、もう二度と手は出さない。それでいいんだろ?フッ」



そして、立ち上がると。



藤「じゃあな北山、フッ」

北「‥‥っ」



バサッバサッ、空高く飛び上がり。



北「どういうつもりだおい藤ヶ谷!」



背中から聞こえて来る北山の叫び声。

バサッ、バサッ!ふっ、分からないの?おまえ。

もう少しで、自分の仲間を敵に回しちまうところだったんだぞ。

それが、どんなに辛いことなのか俺は知っている。

同族同士の争いが…

だから、お前にだけはそんな思いさせたくないんだ。

本当は一緒にいたい、けど今はまだ…

俺はこのとき―

北山の居場所を無くしたくなくて咄嗟に判断し行動を起こしてしまう。

それが、逆に苦しめる結果になろうとは思いもせず。





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