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天使と悪魔

第5章 訪れる慟哭

・北山side

千賀が帰ったあと―



大倉「暫くええって言うまで宏光と2人っきりにしてくれへんか玉森にも起きたらそう伝えてくれ」

宮「分かった」



そう宮田に言い、忠くんは部屋へと行き。

ガチャ!

黙ったままベットに座った俺の隣へと腰をかける。



大倉「聞いてもええ?」



そして―



大倉「お前あいつのこと、好きになったんちゃうよな」

北「‥‥っ」

大倉「どうなん?」



くっ、その言葉を聞き。



北「仕方…ないじゃん」

大倉「宏光」



俺は、絞り出すような声で言ったんだ。



北「もっ、自分の気持ち、誤魔化せねんだからよ」

大倉「おまっ、本気でいってるん?」

北「頭では分かっていてもしょうがねんだわ俺はあいつ藤ヶ谷を」

大倉「それがどういう事だか分かってるんやな相手は悪魔なんやぞ」

北「じゃどうしろって言うんだ教えてくれ、苦しくて堪らない辛くて、あいつの傍にいたくてよ」

大倉「宏…」



頬へつたう涙、感情が怒涛の如く押し寄せ。

と、そのとき!ギュッ



北「たっ、忠くん!?」

大倉「俺じゃダメか?」

北「えっ」

大倉「俺なら、お前にそんな思いさせたりせぇへん」

北「ちょ、放せ」

大倉「あいつなんかより、ずっとお前のこと」



ドサッ―

勢いに乗ってベットへ押し倒おされ。



北「やっ、やめろ、よせって」

大倉「ごめん…」

北「忠くん!」



悲痛な表情が眼の中へ飛び込んでくる。



大倉「俺、制御不能になっちまったわ フッ」

北「なっ、あぁーっ」

大倉「こんなことするつもりはなかったんや、でも」

北「やめろ、やめろって、なぁーっ」



頼む、クッ!

叫ぶ自分の声が、部屋中に響き渡り。

それを聞きながら。

俺は壊れていくのを感じていた。

その悲しみの淵へと―





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