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泣かぬ鼠が身を焦がす

第8章 網の目にさえ


久しぶりに長いことテレビを見たせいかなんだか目が疲れて
それを休めるために目を瞑っていたら、いつの間にか寝てしまっていた



髪の毛が何かにさらさら梳かれて心地いい
枕はちょっと硬いけど、いい匂いだし落ち着く


「……ん、……」


身じろぎすると、手に当たった枕の布の感触が明らかに部屋にあるものの手触りじゃなくて


あれ、こんなのあったっけ


とか思いつつ薄く目を開けると、視界に映る枕はなんだか黒っぽい布地

視線の先にテレビがあるからソファで寝てしまったことに間違いはないと思うんだけど


んー……?


枕の手触りを今一度確認してみると


「起きたのか、ノラ? 擽ったい」


と頭上から声がした


「杉田、さ……?」
「ん?」


降ってくる声は随分と優しくて、髪を梳いていたものが頭を撫でるような感じに変わったそっちにも気をとられる

けど、寝惚けた頭の回転が戻ってくるのにはそうそう時間はかからず


「ぅわ!?!?」


何俺、杉田さんに膝枕で寝かされてんの!?
寝る前まではいなかったよね!?


飛び起きようとした俺の頭は少し膝から浮いたところで杉田さんに抑えられ、戻される

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