
泣かぬ鼠が身を焦がす
第8章 網の目にさえ
「もう少し寝ていろ」
そんなこと言われても、こんな状況で大人しく寝てられるか!
でも、なんとなく反抗は出来なかった
……心のどっかにこのままでいたいって考えがあったのかもしれない
杉田さんに髪を撫でられて、目が細くなる
起きたばっかりだけど、また夢の中に戻されそう
「いつ頃から寝ていたんだ?」
「ん……」
ドラマの再放送見てた時間だから
「16時とか、そんくらいかな」
「そうか。ならもう眠くないな」
「うん。1回起きたら平気」
今はまだちょっと眠いけど
「なんで?」
そんなこときにしたことないじゃん
大きな欠伸をしながら少しだけ頭の位置を変える
布も脚も硬いけど、こんな心地いいのはなんでだろ
そう思っていると
「今日、ノラに相手をして貰おうと思ってな」
と言われた
「相手?……ふぁ、あ……何の?」
将棋とか囲碁とかそういうのは全くわかんないから無理だよ?
せいぜいトランプ……
俺の呑気な考えとは違い、杉田さんの口から出てきたのは驚くようなものだった
「セックスの」
「せ……!?!?」
え!?
今なんて!?
セックスの相手!? 俺が!?
