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泣かぬ鼠が身を焦がす

第9章 磯の鮑の


「はぁ……」


もし結婚してたらどうすんの
略奪愛する?
いやいや馬鹿か

指輪はしてなかったけど、最近は仕事中しないって人も多いしなぁ


「おはようございます」
「伊藤さん。おはようございます」


机の上のフレンチトーストをフォークで突いていると、入ってきたのは伊藤さん

今日の杉田さんの予定を教えてくれに来たみたい


「本日はーーーー」


そこから延々と始まる本日もお忙しい社長様の予定の羅列

眠くもなりそうだけど、今日も最後の予定が帰社で終了したのを聞いて良い案が思いついた


「ねぇ伊藤さん」
「はい?なんでしょう?」
「杉田さんはここ最近全然家に帰ってないけど、大丈夫なの?」


やばい
不自然?


「大丈夫、とは?」
「空き巣とかさ、埃たまってたりとかしないのかなーって」


く、苦しい


「それは問題ないかと思います。セキュリティはしっかりとしていますし、週に何度かハウスキーパーを依頼してありますので」
「へぇ。やっぱりお金持ちは違うね」


しかも欲しかった情報は手に入らなかった
くそぅ


伊藤さんの的確な答えに今度はどう質問しようかと考えていると


「何故そのような事を?」


と逆に聞かれてしまった

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