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泣かぬ鼠が身を焦がす

第9章 磯の鮑の


俺の心臓、本当におかしくなるんじゃない?
そろそろ壊れそう


いちいち鼓動を早くする心臓に自分でも少しイラつきつつ杉田さんの膝から下りようとすると


「!」


膝の裏に杉田さんの手が回ってきてそのまま持ち上げられた


「う、わ……っ、何!?」
「何って、風呂だろ?」


当然のように言って俺を抱えたままスタスタ歩く杉田さん


こういうことするから……っ
うぅ…………


縮こまってる俺を、杉田さんも笑ってる気がする

洗面所に入ると下に下ろされて、予想通りって言ってもいいくらい当然のように服も脱がされた


次は浴槽に入れられんのか


と諦め半分に思っていると、何故か杉田さんは動きを止めた


「……何? 先入ってていいの?」
「俺の服、ノラが脱がせろ」


はぁ!?


「なんで?」
「ノラのは俺が脱がせてやっただろう?」
「脱がせて『やった』だ!? 杉田さんが勝手にやったんじゃん!」
「脱がせたことには変わりないだろ?」


散々構って来たと思ったら今度は甘えてくんのかよ?


イライラしてるはずなのに、頭の中のどこかで可愛いとか思ってる自分がいてさらにイラつく


「早く。風邪ひくぞ」

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