
泣かぬ鼠が身を焦がす
第9章 磯の鮑の
どうせ考え事の続きでもしてたんだろ
そう思いながらも一応確認した体調に関しては、全く問題はないらしい
杉田さんはお礼でも言うかのように俺の頭をぽん、と撫でた
「ベッド温めておいてくれ」
「ゆたんぽかよ、俺は」
そんな会話を経て、俺は1人ベッドに向かう
布団に包まると少し冷たいシーツに迎えられた
風呂上がりで熱い身体には心地いい
「はふ」
杉田さん、何考えてたのかなー……
俺の悪口のこと?
いやでも怒ってないって言ってたし
中途半端な嘘つく人じゃない、よな?
広いベッドの上をころころ転がる
でも突然手首縛ってきたり、絶対なんか変だったんだけど
うぅん
そこまで考えたところで、杉田さんがやってきた
「端に避けろ」
「ん。結構あったかいよ」
「本当だ。ノラ、お前熱はないよな?」
さっきと反対に今度は俺の体調を心配してきた杉田さんが、俺の額に手を当てる
確かに手と額との温度差はあるけど、熱なんかあるわけない
「ないよ。にしても杉田さんて手冷たいよね」
「ノラの体温が高いんだろう」
「んなわけねー。平均だよきっと」
無駄話を交わしながら杉田さんが俺の横に寝転がる
