テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第10章 3日飼えば恩を忘れず


その人はゲイバーって場所に似つかわしくない
可憐な美少女の姿をしている

さらさらの長い黒髪
長い睫毛
桃色の唇と頬

着ている服には少しゆとりがあって、儚げな印象を与える

そしてその人は俺を見るなり、華が咲くように笑顔を浮かべた


「ノーーーーラーーーー!!!!!!!」
「ぐふぅ……っ」


俺を見るなりそいつは飛びついてきた


「おい!! 明人(アキト)!!!」
「やぁだぁ! アッキーって呼ーんーで」


きっと世の男性だったら、こんな可愛い女の子に抱きつかれたら喜ぶんだろう

女の子だったら、な!!!!


「女装野郎!! 離せ!」
「きゃっ、ママァ! ノラが私のこと女装野郎って言うのー! 酷い! 傷ついた!」
「見てたわよ。全くノラったら何時からそんな子になったの!?」


ヒトミさんに明人が抱きつく様はまるで美女と野獣

しかし両方男で、心が女ってのがややこしい
ちなみに明人は見た目の通りネコ


「まったく……なんで俺が悪者なわけ」


俺が溜息をついた
その時、後ろから肩を掴まれる


杉田さんかな
明人のとこも一応紹介しとくか


そう思って振り返った
が、そこにいたのは杉田さんじゃなくて

ストーリーメニュー

TOPTOPへ