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泣かぬ鼠が身を焦がす

第11章 昔離れたあわせもの


そしたら返ってきた杉田さんの返事は


「俺も楽しかった。何よりノラの友人にも会えたしな」


だった


「ヒトミさんと明人のこと? 嬉しかったの?」


オカマと女装に会えて何が楽しいのか


「あぁ。ノラのこと少し知れたようで、行って良かったよ」
「そ、んな……」


うわ
なんだよ、思わせぶりなこと言うなよ

くそ


「あの2人とはどういう知り合いなのか、聞いてもいいのか?」
「え? いいけど、別に面白くもないよ? 俺が杉田さんと会った時みたいにフラフラしてたら、ヒトミさんに拾ってもらったの」
「命の恩人だな?」


俺の考えと同じ答えが杉田さんからも出てきて、ヒトミさんのこと誤解されずにちゃんと伝わったんだって嬉しくなる

あのビジュアルだと、何かと誤解されやすいからね


「あははっ、そう。俺あの人がいなかったら死んでたよきっと」
「そうか。なら、今日は会えて良かったな」


藤本のことにあえて触れない優しい会話
俺が俯いてたから気使ってくれたのかな

杉田さんて大人だな


「うん。ありがとう。一緒に来てくれて」
「俺が行きたかったんだから、いい」


会社に戻ったら、藤本のこと話そう
聞いてくれるかな

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