
泣かぬ鼠が身を焦がす
第3章 枕
って見とれてる場合じゃない!!
なんでこんなとこにいんの
っつか、力強……!!
全然離れねー
離れようと胸を押すけど、背中に回された杉田さんの腕に阻まれて叶わない
うあぁぁぁ
いい筋肉
胸も腕も固いし
力強く抱き締められてんのもなんか気持ちー
っておい
「杉田さん……っ、杉田さん!」
「ん…………なん、だ……?」
必死で名前を呼ぶと、一瞬目をぎゅっと瞑った杉田さんに抱き直される
「暴れるなよ……」
「いや、そうじゃなくて! なんでこんなところで寝てんの!?」
「ノラ……が、寂しがってたから…………すー……」
「寝ないでよ!それに俺寂しがってたんじゃなくて抱き枕が欲しいって言ったの!」
近いところで大きな声を出す俺を杉田さんが引き寄せて、胸に顔を埋められた
「うぶっ……」
「うるさい。明日にしろ」
うるさいって……
つかこのままだと大して高くもない鼻がへこむ
俺はなんとか顔を横に逸らした
あ、あったかい
杉田さん体温高いのかな
それにこの心拍の音
落ち着く
寝れそー、かも
もうこうなったら堂々と抱き枕扱いしてやる
寝る!!
