
泣かぬ鼠が身を焦がす
第17章 千里も一里になるはずで
お手伝いしますぅ、と言うイケメンとヒトミさんが一緒に店の方に消えて
部屋に俺だけになる
素直な気持ち
俺は心の中でもう1度ヒトミさんの言葉を反芻して、ペンを取った
書き込む場所は広くなかったんだけど、うんうん考えてたら時間がかかってしまって書き終えた頃にはすごい肩がこっていた
うへぇ、疲れた
「書き終わったの?」
「うん。終わった」
見ていたかのようにぴったりなタイミングで部屋に戻ってきたヒトミさん
「ならそれ入れて、早く帰んなさい」
「うん」
俺はバースデーカードをプレゼントの陰に入れた
見られたらちょっと恥ずかしいから
最後の抵抗ってことで
とは言っても端っこ隠れてないから普通に見えるけど
ビニールとカードの柄が同じで、プレゼントとして完成されたようなそれを満足げに見つめてから俺は顔を上げた
「じゃ、帰るね」
「えぇ。頑張りなさい」
「ほんとにありがとう、ヒトミさん。大好き」
「……それがちゃんと拓真さんにも言えるといいわね」
遠い目をするヒトミさんに「うるせー」って文句を言って、もう1度お別れの挨拶をして俺は店を出た
はぁ
明日なのに、今から緊張する
